追いかけろ、青。
でも、やっぱり。
お前が言ってたとおり、忘れるなんてできなかったよ友利。
それから……シズナ。
「嘘、でしょ…?だっていつもみゆうくんの都合に合わせてきたしっ、嫌われるようなことした覚えないよ…?」
「そもそも最初から好きじゃなかったし俺」
「っ、」
「ごめん、完全に遊びだった。利用してた。そんな自分がもう……嫌になったんだよ」
シズナを泣かせて、友利の努力を目の前で見て。
いつからか俺も、そんな一部になりたいだなんて願って。
陰ながらにも友利のサポートをしているとき、なぜか俺も同じ夢を追っている気持ちにすらなったりして。
明日はいよいよ決勝なんだって。
若戸と戦うなんて、夢みたいだろ。
「だからもう、帰って」
「み、みゆうく───」
「帰って」
満たされなかった。
女じゃあ、駄目だった。
甘い匂い、誘う声、柔らかな肌。
だとしても俺が欲しいものは何ひとつ埋めることなんかできなかった。