追いかけろ、青。
「なあユキヤ。今年…、俺たちどこまで行けっかな?」
「んー、まあどーせ今年も若戸が甲子園行くだろうし、とりま秋季大会のベスト8どこ行った?にならなけりゃいーや」
「……そう…だよな。それなり、な!」
「あれは組み合わせの運とか相性みたいなとこもあったしなー」
やめちゃえ野球なんか。
バットに、グラブに、失礼だ。
どこかの学校で人生を懸けて頑張っている高校球児たちに失礼だ。
「…ばっかみたい」
そこまで声を出して、ボールをキャッチして投げて。
体力作りに走り込みして、泥だらけになって、何回も何回も素振りしてるくせに。
なのに、それなり、なんて。
甲子園目指してないなんて、あれが八木坂高校の野球部だなんて……バカみたい。
「あれ?まだ残ってたの?とっくに完全下校チャイムは鳴ったはずだぞー。……って、サヤカまーたサボったなあいつ」
適当な図書委員をすぐに勘づいた先生、さすがだ。
「たしか君は…転校生よね?」
「…はい。あの、もう帰らないとダメですか」
「……できればね」