追いかけろ、青。




興味ないふりをするつもりだったのに、思考とは裏腹に言葉が口から勝手に飛び出してしまう。


やっぱりいい。
聞かない、聞きたくない。

すぐに首を横に振ったはずが、友利は丁寧に伝えてきた。




「娘は俺に似てほしくないところが似てしまったから、泣かせてやってくれ。…って」



「────、」




意識が戻ったときにはもう、子供のように、私じゃないほどに、声を上げて泣いていた。


その腕のなか。

だって、びっくりしたから。


あんなにも固くて速さの乗ったボールをいつも当たり前のように受け止める人が、ここまで優しい動きができたのかって。


びっくりしたから。

お父さんがそんなこと言うなんて。



「ずっとひとりで我慢させて、ごめん。…ごめんな」



そうだ。

私はずっと、ずっと、こんなふうに泣きたかったんだ───…。



「あああぁぁぁーーー……っ」



友利が私に対して「いつも心では泣いてる」と言っていたように、それは私もお父さんに対して抱いていた気持ちだった。


でも、でもね、

お父さんの場合は少し違っていて。



< 364 / 377 >

この作品をシェア

pagetop