追いかけろ、青。
興味ないふりをするつもりだったのに、思考とは裏腹に言葉が口から勝手に飛び出してしまう。
やっぱりいい。
聞かない、聞きたくない。
すぐに首を横に振ったはずが、友利は丁寧に伝えてきた。
「娘は俺に似てほしくないところが似てしまったから、泣かせてやってくれ。…って」
「────、」
意識が戻ったときにはもう、子供のように、私じゃないほどに、声を上げて泣いていた。
その腕のなか。
だって、びっくりしたから。
あんなにも固くて速さの乗ったボールをいつも当たり前のように受け止める人が、ここまで優しい動きができたのかって。
びっくりしたから。
お父さんがそんなこと言うなんて。
「ずっとひとりで我慢させて、ごめん。…ごめんな」
そうだ。
私はずっと、ずっと、こんなふうに泣きたかったんだ───…。
「あああぁぁぁーーー……っ」
友利が私に対して「いつも心では泣いてる」と言っていたように、それは私もお父さんに対して抱いていた気持ちだった。
でも、でもね、
お父さんの場合は少し違っていて。