追いかけろ、青。




詳しいことは何も知らなかった。

ただ、そういうところだったんだと今なら思う。


吐き出せなかった孤独が、お父さんを独りにさせてしまった。


いつだって自分を責めていた。
自分を責めて納得してしまう人だった。

頼るあてなんかないから、そうするしかできなかったんだお父さんは。


友利のユニフォームを強く強く握りしめて、顔を押し込むように埋めて、ごめんなさいをたくさん繰り返した。



「スイがっ、私がっ、いい子じゃなかったから…っ、おりこうさんじゃ、なかったから……!だからお父さんも私のことっ、嫌いになったんだ……っ」


「ちがう。それはぜったい、違うぞ」



ごめんね、ごめん、
おねがい戻ってきて。

あいたい、お父さん、会いたい───。


自殺は甘えなんかじゃない。
甘えられなかった結果なんだと。




「────彗。だって俺は、お前のことが大好きなんだから」




涙だらけの心に。
ふわり、ほわっと、私に与えられた光。


お父さんへの謝罪と後悔のあとに。


笑顔になれる魔法を、彼はひとつ、そっと置いてくれた。



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