追いかけろ、青。
「はははっ!無理してんじゃねーよ洸大!格好つけるなら最後まで格好つけろっての!!」
「試合でその顔はやめろよーー?見てるこっちが爆笑でしかねーわ!」
バス内から聞こえてくる、部員たちの笑い声。
「…うっせ。そのためのキャッチャーマスクだろーが」
「「「いっやちげえわ!!」」」
ふふっと、どうしたってこぼれてしまう。
こんなにも笑えるようになった。
自然と出てしまうようになった。
泣きたいときに泣いて、笑いたいときは笑う。
いつだって受け止めてくれる彼がいるから、私は自分の弱さだって受け入れられた。
「だいすきだよ、…洸大」
ありがとう。
初めての景色をたくさん見せてくれて。
見たことがない景色を私に見せてくれて。
この町を、人を、大好きにさせてくれて。
洸大が見せてくれた青が、洸大と追いかけた青が、今まででいちばん綺麗だって。
何年、何十年経っても、私はきっとそう言いつづけるんだ。
─────……変わらずきみの隣で。
「……やっぱ俺の兄貴だ、血しか感じない。でも俺はさすがにぶつけないけど」
と、近くにいた流星くんが落としたつぶやきに、私はまた笑ってしまった───。