追いかけろ、青。
そこはもちろん野球に懸ける生徒が推薦で入るような名門で、なかには県外からの部員も居るため、寮があるのだと。
この田舎町からは少し離れるけれど、それも承知で入学したかったのだと。
「なんで、やめたの」
「…行ったらダメなんだ俺。…甲子園も、確かに俺にはブランクもあるから今の実力じゃあってとこはあるけど……、
目指すことすら許されない立場が俺だから」
「…許されない立場…?意味わかんない」
「……俺も…わかんねえわ」
軽く笑うように弱々しく吐き捨てられた。
なんとなくは分かった。
あえてこの高校に入学したくらい、名門校には行けなかった何かしらの理由があったということなんだろう。
じゃあどうして、まだ野球をやってるの。
強豪校じゃなくとも、この学校で、その練習着を着ているの。
「ダメだった。野球だけは………どうしても捨てらんなかった」
その気持ち、あるんじゃん。
その気持ちだけがあれば目指していい理由になるんじゃないの、甲子園は。