追いかけろ、青。
本当は行きたいくせに。
目指したくてたまらないくせに。
今だってずっとそんな顔してるよ。
「すげえと思ったよ、早見」
「…私?」
「転校してきた日、…クラス全員の前で。俺にはあんな勇気も度胸もないって実感した」
あのときの目は、すごいと思ったものを見つめてくる目じゃなかった。
そうじゃなくて、もっと違う、表現できないもの。
そんなにもまっすぐなものがこの世にあるんだって私を怯えさせるほど、怖くなるほど。
あの目を持ってマウンドに立てば、友利。
きっとあんたは甲子園に行けるよ。
「今のあんたは……すごく格好悪い」
時間つぶしにはなった。
いい、暇つぶしにはなった。
「私にこんなこと言われるためにわざわざ来たのなら、…災難だね」
英語で85点以上。
なんとなくだけど、勉強はそこまで得意じゃなさそうな感じするから。
置いて帰るつもりで図書室の鍵を預けようと思えば、唖然と立ちすくんでいた野球部は意識を戻して「たぶん方向いっしょだから送ってく」と、言ってくる。