追いかけろ、青。
「早見」
「………」
「なあ早見ってさー」
「………」
「早見ちゃん早見ちゃん」
「…やめてそれ」
似合わない。
私にもそうだし、そんなふうに呼ぶあんたも。
呼ばれる側もだいぶしんどい。
私の考えていることが逆に伝わったのかもしれないと思う顔をして、自転車を引きながら空に人差し指をさした友利。
「うえ、見てみ」
騙された気持ちで、ゆっくりつられてみる。
「……!」
「きれいだろ」
「えっ、ここプロジェクターとか掛かってるの…?」
「…は?」
「だってあれオリオン座だよね…?本物…?」
暗さを帯びた空に、輝く光の粒。
ふと見上げた場所に広がった、入場制限も時間制限もないプラネタリウム。
「これ無料…?無料なの…?ねえ友利、」
「……ふっ、あはははっ!!まじっ、都会っ子やべーー」
「え、……なにがおかしいのバカっ!!」