追いかけろ、青。
広がる青空、照り返すマウンド、大歓声の応援席。
サヨナラ逆転のチャンス、バッターボックスには背番号2。
私が見上げた星空には、こんな熱い夏が広がった。
「甲子園って、実は2つあってさ」
「…ふたつ?」
「そう。たぶん一般的にイメージされてんのは夏だと思うけど、春にもあるんだ」
だったらそれはチャンスとも言える。
春を逃したとしても夏がある。
1年に2回もチャンスがあるってこと。
「でも春は…挑むってより、選ばれるかどうか」
「え?」
「選抜大会とも呼ばれてるくらい、秋季大会の結果や全体的な評価、バランスだったりで決められるんだ。
まあそれも実力って言われたらそうかもしんねーけど、正直俺は……その形は好きじゃない」
うん、なんとなく分かるよ。
あんたは正々堂々と、そのとき勝負して掴みたい人間な気がするから。
「だからもし俺たちが目指すんなら……夏、全国選手権大会」
やっぱり言わない。
肝心なところで友利は、その単語を出さない。