追いかけろ、青。
嫌われ要素を人より多く持ってはいるけど、私が嫌いな目をしない1人だった。
純粋に私のことを知りたいと思ってくれている、もうひとり。
「アイドルのライブとか一緒に行きたいし!」
「いやそれは…」
「あとあとっ、いっつも迷うの私!向こうの駅でかすぎ!出口何個あんの!?だからね、案内して欲しいんだ~」
「……案内くらいなら」
「やった~!!約束ねっ」
コロコロ変わる表情は、見ていてサイコロを転がしているみたいだった。
私は小さなときから笑顔が下手で愛想が少なかったけれど、当時は彼女と同じ心を持っていた。
でも、今はもうできそうにない。
どう笑えっていうの。
お父さんのあんな姿を見ておいて、どう笑って生きていったらいいの。
『なあ早見、お前ってどんなときに笑う?』