追いかけろ、青。




「部活……入ろうかな」



───はっ。

隣を歩く彗のつぶやきに、意識は戻された。



「え、部活?」


「うん。毎日の時間潰しにはなるだろうし、テニス部って…面白いのかな。宮田さんに誘われて」


「あーー……。部長がクソ性格悪いらしい」


「え…」



ユニフォーム、すげえスカート短いんだよなテニス部。

あのユニフォームが着たくて入部する女子も居るって聞いたことあるし、あんなの軽い女の集まりだろって偏見を俺は持ってる。


まじ余計なことすんなよ宮田。



「じゃあ…、卓球とか」


「アウトだわ。なんだっけ、コーチがセクハラしてくるって噂」


「……ダメじゃん」



A組の卓球部の男が彗のことを「わりと好きな顔かも」とかなんとか上から目線に言ってたのを、たまたま聞いたことがある。

タイプ、彼氏いんのかな?とか言って。


お前が追いかけるのはピンポン玉だろ眼鏡。



「別にそんな無理にやんなくてもいいんじゃね?向き不向きもあるだろうし」


「まあ……結局ぜんぶお金かかるしね」



遠慮して生きていることが伝わってくる。

家に近づけば近づくほど、彗の歩幅は小さくなる。



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