追いかけろ、青。
「でも…何かに夢中になったり、熱中したこととか。ないんだ私」
だから羨ましいって?
自分もそういう経験をしてみたいって?
どんなに問い詰めたところで認めはしないんだろうけど、顔に書いてあった。
「甲子園、あんじゃん」
「……それは友利のだよ」
「だって応援してくれるんだろ?俺が甲子園いくの」
「………」
なにを思ったのか返事がされないから、俺は同じように足を止めて目線を合わせるように屈(かが)んだ。
「応援、してくれない?」
「っ、」
街灯が少ない道でも、その珍しい表情だけはハッキリと見えた。
1度言ったことを覆すような奴じゃないと思うから彗は。
「……する」
「…ん。よろしくな」
だったらそれは、お前が夢中になって熱中するべきことでもある。
一緒に追いかけていい真っ当な理由だ。
一緒に追いかけるべき、俺たちの夢だ。
「背中押してくれた彗のためにも。行くしかねえわ、まじで」
「…自分のために、行きなよ」
「え?」
「そーいう、誰かのため、とか。……考えないほうがいいと思う」