追いかけろ、青。
自分のことを考えていい。
誰かのため、相手のため、そんなことばかり考えてるから逆に追い詰まる。
やさしいひとはいつだって、自分のために生きられないひと───。
こんなにも説得力があって切ない言葉は、こいつにしか出せないんだろうと思った。
「もちろんそうだよ。俺のためがいちばん。…けど、そこに彗の夢も乗っかってるって思うとさ。これすげえエネルギーになんだよ」
「……じゃあ私じゃなくて、チームメイトとか…」
One four all , All four one.
ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。
それはスポーツをやっている上でよく聞く言葉。
「俺の場合は……彗がいい」
仲間たちのことは信じてる。
野球というチームプレイは、ひとりじゃできないから。
それとこれとは別に、俺にとってお前の言葉って本当に魔法なんだ。
複雑そうな顔を向けてきた彗は、星空の光が際立たせて可愛らしく見えた。
「約束する。見たこともないようなすげえ景色、俺がお前に見せるよ」
だからお前はそのときまで誰のものにもならず、俺だけを応援して、俺だけを見ててくれないとダメだと思うんだよな───。