追いかけろ、青。




自分のことを考えていい。

誰かのため、相手のため、そんなことばかり考えてるから逆に追い詰まる。


やさしいひとはいつだって、自分のために生きられないひと───。


こんなにも説得力があって切ない言葉は、こいつにしか出せないんだろうと思った。



「もちろんそうだよ。俺のためがいちばん。…けど、そこに彗の夢も乗っかってるって思うとさ。これすげえエネルギーになんだよ」


「……じゃあ私じゃなくて、チームメイトとか…」



One four all , All four one.

ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。


それはスポーツをやっている上でよく聞く言葉。



「俺の場合は……彗がいい」



仲間たちのことは信じてる。

野球というチームプレイは、ひとりじゃできないから。


それとこれとは別に、俺にとってお前の言葉って本当に魔法なんだ。


複雑そうな顔を向けてきた彗は、星空の光が際立たせて可愛らしく見えた。




「約束する。見たこともないようなすげえ景色、俺がお前に見せるよ」




だからお前はそのときまで誰のものにもならず、俺だけを応援して、俺だけを見ててくれないとダメだと思うんだよな───。



< 81 / 377 >

この作品をシェア

pagetop