追いかけろ、青。




あ、ちなみに顧問の許可は取れてます。
放送部の許可も取ってます───。

そんな愉快なアナウンスは、内容とはアンバランス。



《なので生徒の皆さん、とくに吹奏楽部の皆さんとチアリーディング部の皆さんは覚悟を決めておいてください》



そこから数秒間の沈黙のあと。

スーっと、息を吸う音が聞こえた。



《今年の夏はとくに忙しくさせますんで、俺たち野球部が!!応援よろしくお願いします…!!》


《《《よろしくお願いします!!!》》》



これを生徒にお願いするための校内放送。

野球部らしいやり方に校内は盛り上がりを見せると同時、生徒たちもどこか興奮ぎみだった。


それはやっぱり、目立ちたいがための甲子園宣言じゃないことが溢れていたから。


けれど、光がある場所には必ず影がある。

何事も順調に進むということは、裏では順調に進まない人間がいるということ。



「お前、なに考えてんだよ」



放課後、今日はどこで時間を潰そうと思っていた私の近く。

踊り場に2つの影が落ちていた。



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