追いかけろ、青。




……とおすぎ。


そんな“唯一近くにあります”、みたいな感じで言わないでほしい。

カラオケ、カフェ、ファミレスにファストフード店。


見渡すかぎり何もない、山と田園ばかりに囲まれたつまらない田舎町。


せめて良いところを妥協的にあげるとするならば、夏は比較的涼しい。

けど、冬は氷点下を下回ることが当たり前なほど、寒すぎる。


結果、…プラマイ………ゼロ。



「伯母さん、少しだけ外を歩いてきてもいい?」


「ええ、今から?少し歩くと公園もあるけれど、坂道はまだ所々滑るだろうから気をつけてね。迷子にもならないように」


「…うん」



さすがに17歳で迷子なんかあるわけない。

スマホだってあるし、……いや、待って。


ここ、電波とか通じるの?


と、不覚にも思ってしまった私は田舎という場所をナメていることは承知。



< 9 / 377 >

この作品をシェア

pagetop