追いかけろ、青。

なに、言ってるの。
似合わないことばっかしないでよ。

そんな静かな声で、優しい顔で見下ろしてくるなんて、バカだ。



「…たぶんこれが本物だよな」


「え…？」



なんでもない、と言うように小さく笑って誤魔化した友利。



「お、お昼の放送は…友利がやろうって言ったの？」


「いや、部員たち」



ならどうして友利が中心になっていたんだろう。

聞かずとも、彼が「甲子園」という言葉を明確にさせた発言者だからだと察する。



「3年生はやっぱり……反対してた？」


「あのあと、先輩たちも含めてちゃんとしたミーティングが開かれてさ。そのときは応援してくれてた。
けど…、俺がずっと本心を隠してたように、隠してる人間もいたってことだよな」


「……そう」


「わかってたよ。俺たち後輩はもちろん」



今日の放送は、3年生が卒業してからやるべきだったんじゃないのかと。

きっと誰もが思ったはずだ。



「だからこそ。先輩たちの本当の気持ちを引きずり出したいってのもあったから……俺たちはあえて今日みたいなことした」