追いかけろ、青。
だけどターゲットにされたのは友利だった。
それは、責めやすい他の理由があったからだろう。
「…しょーがねえんだよな、もう。あーいうのは。…俺の場合はとくに」
「っ…、」
コツンと、私へと頭を倒してくる。
サラッと触れ合ったお互いの髪の毛。
全身が硬直した。
びっくりするくらい、動かせなくなる。
「とも、り…?」
「……悪い。2分だけ頼む」
背中を撫でてくれていたはずの手は、私の肩に回っていた。
ほんの少し引き寄せられるように力が込められて、廊下から顔を出してきそうな人間たちから隠してくれる。
「ネックウォーマー、まさか本当に毎日してくれてるとか」
「だ、だって…、せっかくあるんだから使わないと勿体ないでしょ」
「……それさ、“別にあんたなんかのためじゃないんだからね”ってやつ?いわゆるツンデレ的な」
「………しらない」
だいぶ暖かくはなってきたけど。
朝と帰りはもう少しだけ必要だから。