追いかけろ、青。




「…練習、きつい?」


「ハードメニューすぎてやべーよ。ぶっ倒れんじゃねえかって本気で毎回思う」



けど、と。

友利はつづけた。



「彗のほうが耐えて耐えて、毎日我慢してんだよな。…すげえよほんと」


「…そんな……こと…」



この人はこんなにも爽やかな香りをしていたんだと。

こんなにも耳に残る甘い声をしていたんだと。


ここまで近づいてやっと、再確認。



「ぜってえ連れてく。…一緒に行くぞ、甲子園」



見上げると、一瞬にして合わさる目と目。


もっと深くうなずけば良かったと、そのあとすぐ後悔したけれど。

こんなにも至近距離なんだから伝わっているはずで。



「私も少しは野球のルール、覚えたほうがいい…?」


「ははっ、かもな。そのほうが見てて飽きないと思うし」



飽きることはないと思うけど。

あんたが出場さえしてれば、ないと思うけど。


ただ楽しめはするか…と、プロ野球でも観てみよう今日から。



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