追いかけろ、青。




「…さんきゅ、やる気でた。んじゃ部活いくわ俺。…彗も気をつけろよ」


「…ん」



話していた男の子が居なくなってからだった。

ぬくもりが離れてから、気づかされる。



「………なに……いま、の」



あとから、今になって、やっと追いついてきた。


高校2年生。17歳。

男子との距離感として、あれは正しかったのだろうかと。



「…かえ、ろう」



気をつけろよ、

それは街灯の少ない帰り道だけじゃないこと。


理解したのは、下駄箱を通りすぎて昇降口の外、水道場を横切ったときだった。



「乱暴するの、やめてくれない?」


「……なんのこと」



野球部のマネージャーさんがどうしてこんなところに。

ずっと私の姿を待っていたの?と思わせてくるほど、タイミングが良すぎた。



「友利を怪我させるなって言ってんの」


「ケガ……?させてないよ」


「うそ。背中叩いてたでしょ朝。あーいうのやめてってこと」



波長が合わない。
たぶん、仲良くなれない。

森さんと私は見えない溝が自然とできてしまうタイプだろう。



「あたしたちは甲子園、目指してんだから」


「………」



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