ズルいよ、藤堂くん
(ぅう、どっ、どうしよう...............っ、)
解らないものは分からないし............っ。
私の困りが、絶頂に達したとき。
「手、貸して」
ピタッとくっついた、
隣の席から聞こえてきた優しい声。
〝藤堂くん〟
そう呼ぼうとしたのに。
口に左手の人差し指指を当てて、
〝静かに〟と言っているかのような藤堂くん。
そして...........................
私の身体を、
包み込むようにしながら、掴まれた私の右手。
そして、そのまま、
藤堂くんは、先生が気づかないうちに。
英語の問題の〝答え〟を教えてくれた。
いつも、
〝教科書を持って来ない〟で有名だったのに。