ズルいよ、藤堂くん


--------------ガタン!



と、音を立てて、
一斉に立ち上がる1番後ろ席の人たち。



私も立ちあがろうとしたとき。



──────グイッ!



と、掴まれた腕。



「だめ、」



私の腕を掴んでそう言ったのは藤堂くんで。



「っ、藤堂くん...............っ?」



ほんのちょっぴり、
ドキドキしながら尋ねると。



「あーーっ、誰にも触らせたくねぇ、
って、凄い思うから、僕が行く」



私の耳元に口を寄せて、そう言ってから。



藤堂くんは、
私の席の前の人たちのプリントも。



ぜんぶ、集めてしまった..................



って、それよりも、
〝誰にも触らせたくない〟って。



すごく、〝特別〟に感じる言葉。



ねぇ、
──────ドキドキしちゃうよ藤堂くん。


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