ズルいよ、藤堂くん



話しかけられなくって。



でも...........................話したくって。



「.....................っ、ぅ、」



抑えきれなくて、溢れ出そうな涙。



それと同時。



「...............っ、早川、さん?」



無意識に、
掴んでしまったのは、藤堂くんの制服の袖で。



驚いたような、藤堂くんの顔が見えた。



ぅう、困らせるつもりじゃ......なかったのに。



「早川さん、こっち来て、」



今にも、泣き出しそうな私を、
藤堂くんは優しく連れ出してくれた。



どこまでも、優しくて。



〝教科書を持って来ない〟のに、
頭も優しい藤堂くんは、一体何を考えてるの?



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