ズルいよ、藤堂くん
【07.】初めては、甘く
藤堂くんと話せて嬉しくて。
私の肩に頭を乗せる藤堂くんを、
いつの間にか、──────抱きしめていた。
とっ、藤堂くんに、
ドキドキしてるのに抱きしめたままで。
「........................っ、」
いまは、
完全に、離れるタイミングを見失ってると。
「早川さんって、
手だけじゃなくて、全部柔らかいんだ、」
そう、ボソリと呟く藤堂くんの声。
「...............っ、な、ぁ、ぅ、」
〝全部〟って言葉が、何を示すのか、
半分、分かった気がしたから言葉が出なくて。
「ふっ。かわいー、
そういう、初心なのって余計に」
そのまま、
私の耳元に、囁くように落とされた言葉。