ズルいよ、藤堂くん



ぐっと、言葉を飲み込めたと思ったのに。



「............ホッとけなかったけど、なに」



拾われてしまった私の言葉。



「〜〜っ、藤堂くんが、
ズルいから、言わない、ですっ、」



その先の言葉は、
私が〝恋〟で、藤堂くんの〝普通〟だから。



いっ、言えないよ..................っ。



そう、思っていると。



「僕が、早川さんのこと好きって言っても?」



藤堂くんから、
聞こえて来たのはそんな言葉。



「.........っ、藤堂くんっ、
これっ、藤堂くんの分もあるんですっ、」



それは...........................



藤堂くんに渡したくて、
制服のポケットに忍ばせていたカップケーキ。


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