鬼の生贄になったはずが、溺愛されています
そっと光鬼の膝に手を乗せる。
その膝は思っていた通り筋肉質で、そしてとても熱を持っていた。

光鬼が驚いたようにハナを見つめる。


「そんなことを言われたのは初めてだ。みんな俺のことを怖がってるのに」

「初めてあなたを見ると怖がるのも無理はないと思うの。だけどこうして会話をしていると違うと気がつく」


ハナは光鬼の横に膝をついて座った。
見上げる形で光鬼を見つめると、その美しさに気がついて息を飲んだ。

整った目鼻立ちに、毛先が少しカールしている金色の髪。
笑うとエクボのできる口元も愛らしい。

角を隠していればそのへんの人となんら代わりがない。
口元から除く大きな犬歯も、光鬼の顔にマッチしてとてもよく似合っていた。


「光鬼という名前。俺も気に入ったぞ」


光鬼はそう言って微笑んだのだった。
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