鬼の生贄になったはずが、溺愛されています
自分はいつの間にか眠ってしまったんじゃないか?
そう思ったが、伸ばした手はちゃんと光鬼にふれることができた。


「どうしてここに?」

「……1人で下山できるか気になって」

「いつから私をつけてきていたの?」

「最初から、ずっと」


その言葉にハナは胸の奥がジワリと熱くなるのを感じた。
愛しい気持ちが沸き上がってきて、止まらない。

光鬼に自分から抱きついて、強く強く両腕に力を込めた。


「私はどうしても村へ帰らないとダメ?」


その質問に光鬼は黙っていた。
帰ってほしくないという気持ちが痛いほど伝わってくる。

違う種族同士が一緒にいることはあまりよくないことかもしれない。
だけど、愛し合うことだってある。


「帰ろう光鬼。私達の家に」
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