自殺教室
「私達、千秋に謝らないといけないことがあって来たの」


奈穂が早口になって言う。


「謝る?」


千秋は一瞬一浩へ視線を向けて、それから首を傾げた。
一浩が謝罪するのはわかるけれど、他のメンバーが謝罪する理由がわからないと言った様子だ。


「その前に聞きたいことがある。千秋はあの日のことを覚えてるか?」

「あの日って、事故が遭った日のこと?」

「そうじゃなくて、教室に閉じ込められたときのことだ」


豊からの質問に千秋はますます首を傾げた。


「教室に閉じ込められたってなに? そんなことがあったの?」


興味深そうに豊を見つめている。
4人は互いに目を見交わせた。
千秋はあのときのことをなにも知らないみたいだ。
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