自殺教室
でも、それで終わりではなかったんだ。
放課後になってようやく家に帰れると思ったころ、昇降口の前で千秋は棒立ちになっていた。

靴がないのだ。
このときになってようやく一浩が今日1日おとなしくしていた理由がわかった気がした。

最後の最後に突き落とすためだ。
千秋はふらふらと昇降口の近くを探し始めた。

上靴は安く手に入るけれど、靴はそういうわけにはいかない。
それに、前回上履きを買ってもらったばかりで靴までなくなったなんて言えば、両親はもう黙っていないだろう。

イジメを受けていることを無理でも聞き出されることは目に見えていた。
それから千秋はあちこち靴を探して回った。

教室のゴミ箱の中。
掃除道具入れの中。
ロッカーの中。
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