自殺教室
「わかってる……」


一浩の頬に幾筋もの涙が伝う。
声は震えて、もう以前のような凶暴さは鳴りを潜めていた。


「それと……」


千秋の視線が他の3人へ向かう。
奈穂は涙でにじむ視界で千秋を見た。


「私は誰かの宝物なの。その宝物を壊してしまったことを、謝って」


それは千秋の両親、友人らへの謝罪を意味するんだろう。

奈穂は何度も頷いた。
ここまできて、もう隠し通せることはないだろうと思っていた。

自分たちのしたことをすべての人に謝罪して、それでも元の生活に戻ることができるかどうかはわからない。
きっと、4人のことを悪く言う人たちだって出てくるはずだ。

それでも、千秋の傷に比べたら軽いはずだった。
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