自殺教室
「今喧嘩をしている場合じゃないでしょ!?」


こんな狭い教室内で言い争いなんてされてはたまらない。
雰囲気が悪くなる一方で、助けが来るまでに疲弊してしまいそうだ。


「そ、そうだよ。みんなで考えなきゃ」


珠美が奈穂の後ろに回り込んで二人を説得する。
すると豊が大きく深呼吸をして心を落ち着けた。


「そうだな。こんなところで喧嘩したって外に出られるわけじゃない」


ようやく落ち着いてくれたようで、二人共距離を置いた。
奈穂はホッと胸をなでおろす。

でも……と、視線を黒板へ向けた。
黒板に千秋の名前が書かれたことは事実だ。

千秋が今回のことになにか関係しているからだろう。


「もしかして、どこかで見てるのかも」


ふと、奈穂はそう呟いていた。


「見てるって?」


珠美が首を傾げて聞いてくる。
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