自殺教室
奈穂は昔みたことのある監禁系のホラー映画の内容を思い出していた。

その映画の中では主人公たち数人が狭い部屋に閉じ込められて殺し合いをさせられるという内容だったのだが、殺し合いの内容はすべて犯人に見られていたのだ。

この教室のどこかにもカメラがあって、誰かが……いや、千秋が見ているのかもしれない。


「千秋は死んでないけど、なにか目的があってここに私達を監禁したのかもしれない」


奈穂がホラー映画の内容を全員に伝えると、重苦しい空気がのしかかってきた。
その映画で選ばれた人たちは無作為だった。

だから今回の私たちもクラスメートというだけで選ばれたのかも知れない。
そうだとすれば、すべて納得がいく。


「どこかにカメラがって千秋が見ているなら、声をかければ助けてくれるかもしれない」


珠美が期待に満ちた目を輝かせる。
奈穂は大きく頷いた。

そのとおりだ。
これは現実で起こっていることで、映画の中のお話とは違う。
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