自殺教室
千秋が見ているのだとすれば、その情に訴えかけることができるかもしれない。


「カメラはどこにあるんだろう?」

「わからないよ。だけどきっとあちこちにあって、私達の反応を見ているはず」


奈穂と珠美はカメラを探し始める。
けれどそれは簡単に見つけられるようなものではなかった。

超小型で高性能なカメラはいくらだって存在している。
教室の隠し場所は無限大だ。


「お願い千秋、こんなことやめて! 私達を解放して!」


奈穂は天井へ向けてそう声をかけた。
きっと、天井付近にもカメラは設置されていて、教室全体を写していると思ったからだ。


「そうだよ千秋。今なら誰にも言わずにいてあげるから!」


珠美も声を張り上げる。
少し待って反応を伺ってみるけれど、外からの異変は感じられなかった。

試しに豊がドアを開けてみようとするが、やはりびくともしない。


「千秋、聞いているんでしょう!?」


奈穂の声が虚しく響く。
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