自殺教室
「なんだよこれ。こんなのありえない!」

「嘘でしょ……」


異変に気がついた豊と珠美が近づいてきて、床下の闇を見て顔をしかめている。


「きっと、窓やドアが開いてもこれと同じことになってんだろうな」


一浩がナイフを放り投げて呟く。
もしそうだとすれば、ここは現実世界ではないのかもしれない。

こんな、吸い込まれてしまいそうな闇、現実世界には存在していない。
まるで、ブラックホールだ。


「そこをすぐに閉じよう」


誰から手を差し入れてしまう前にと、豊が剥がされた床板を元に戻す。
闇が見えなくなったことで奈穂はホッと息を吐き出した。

気がつけば一浩が放り投げたナイフは教卓の上に戻っていた。
いつ、誰が戻したかなんてわからない。

だけどもうこの空間が普通ではないことはわかってしまった。
つまり、なにがおきてもおかしくないということだ。

奈穂はゴクリと唾を飲み込む。
時計に視線を向けると、午前4時になっている。
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