自殺教室
「私も、さっき探したけどなかった」


珠美がすぐに同意する。
他のふたりも制服のポケットを確認しているけれど、その中からはチリ一つとして出てこなかった。


「おかしいな、ハンカチもないなんて」


豊が首を傾げている。
ハンカチはポケットに入れっぱなしにでもしていたのだろう。


「迎えが呼べねぇな」


一浩がチッと小さく舌打ちをする。
教室内は電気がついていて明るいけれど、外は真っ暗だ。

時計の針を確認すると午前3時だとわかった。
夜が明けるまでにはまだまだ時間がありそうだ。

真っ暗な中家に帰ることを思うと、憂鬱な気持ちになる。


「夜明けまで待って帰る方が安全かもしれないね」


奈穂が珠美へ向けて声をかける。
同じ女子生徒同士だから同意してくれるだろうと思ったけれど、珠美は鋭い視線を奈穂へ向けた。


「そうだね、奈穂は可愛いから」
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