自殺教室
小さな声で呟いたのは豊だった。
豊の顔には疲れが滲んできていて、大きくため息を吐き出した。

一刻も早くこの不可解な教室から脱出したい。
それはここにいる全員の願いだった。

だけど出ることができない。
出口はどこにもない。

だから助けを待つしかないのに、今度は時間が止まってしまったのだ。
つい、死が脳裏にかすめても仕方ないことだった。


「死ぬなんて言わないで!」


珠美が青い顔をして叫び、「ごめん」と豊が小さな声で謝る。
するとそこで沈黙が落ちてきた。

みんななにも言わない。
どうにもできない八方塞がりな絶望感に支配される。


「俺が自殺すれば、時間が進むのか?」


沈黙を破ったのは一浩だった。
奈穂がハッと息を飲んで一浩へ視線を向ける。
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