自殺教室
奈穂が時計に視線を向けると、時間はまた進み始めていた。
それを確認してひとまずホッと息を吐き出す。

一浩が罪を認めて自分を罰したから、時間が進み始めたのかも知れない。
そうなると……と、残っている珠美と豊に視線を向ける。

このふたりも同じようになにかの罪を認めて罰を受ければ外に出られるんじゃないか?
そんな風に考えたのだ。

けれどすぐに左右に頭を振ってその考えを否定した。
珠美や豊が千秋をイジメていたところなんて見たことがない。

ふたりとも真面目な生徒だからこんなところに閉じ込められる原因はないはずだ。
もちろん、自分にだって……。

じゃあ、これから先はどうすればいいんだろう?
奈穂は一浩が消えた場所をジッと見つめた。

一浩は確かに派手な生徒だった……。
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