自殺教室
元はと言えばそっちがやり始めたことじゃないか。
そう思っても言葉にはならなかった。

言ってもどうせ一浩にとって振りになるように先生にチクられるだけだ。
リーダーの男子生徒がようやく起き上がり、一浩へ向けて歩いてくる。

一浩はまた拳を握りしめるけれど、馬乗りになっていたときみたいな勇気は出なかった。
身長差で圧倒されて体がすくんだ。

次の瞬間拳を叩き込まれていたのは一浩の方だった。
それからの一浩は態度だけでも大きく見せようと必死だった。

誰にもバカにされないように、見下されないようにどんどん派手な見た目になっていく。
中学へ入学した頃にはすでにピアスを開けていて、髪の毛の色も変えていた。

当然、何度も先生に呼び出されることになったけれどそんなのは関係なかった。
自分に楯突く生徒には怒鳴り散らして言いなりにさせたし、弱そうな生徒はイジメた。

弱い者がイジメを受けるのは一浩にとっては当然のことだった。
歪んだ強さは千秋にも向けられた。


「あいつ、カンニングしてるらしいよ」


そう聞いた一浩はその言葉を鵜呑みにした。
< 54 / 165 >

この作品をシェア

pagetop