自殺教室
「もちろん。珠美も行こう」


豊に声をかけられた珠美がようやく近づいてきた。
そして4人で教室を出ようとした、そのときだった。

奈穂がドアを開けようとしてもそれはびくとも動かなかったのだ。


「あれ? ドアが開かない」

「カギがかかってるんじゃないか?」


豊に言われてカギを確認してみるけれど、それは確かに開いていた。


「カギは空いてる。でもドアが動かないよ」


向こう側からつっかえ棒でもされているんだろうか。


「それなら窓から出ればいい」


一浩が廊下側の窓に手を伸ばす。
その窓はクレセント錠で、反転させて解錠させるタイプのものがつけられている。

カギも鍵穴もないから簡単に開閉できるはずなのに、なぜか手こずっているのがわかった。


「なんだこの窓、カギは開けたのに開かねぇ!」


一浩が叫び声に似た声を上げる。
さっきから両手をつかって懸命に窓を開けようとしているため、顔は真っ赤に染まっていた。

一浩の二の腕は筋肉で持ち上がっているし、これが嘘だとは思えなかった。
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