自殺教室
豊の告白
豊はさっきよりも顔色が悪くなっていて、今は床に寝転んでいた。
呼吸も荒くて思った以上に血が出ているみたいだ。


「豊きこえる?」


隣に座って声をかけるよ豊がうっすらと目を開けた。


「あぁ、聞こえてる」


その声はしっかしていて、ひとまず安心した。


「ただ傷口がどんどん痛くなってきてる」


そのせいで顔色が悪いみたいだ。


「聞いて豊。一浩は罪を告白してから自殺した。だから外へ出ることができたんだと思う」


奈穂の言葉に豊はなにも返事をしなかった。
だけど聞いていることはわかったので、話を続けることにした。


「豊は告白する前にナイフを使おうとしたから、中途半端になったよね。ってことは、このまま死んでも外へは出られないかもしれない」


最悪の場合、豊の死体はこの教室に残ったままということになる。
この教室から全員が出られた時、その死体がどうなるのかもわからない。

豊の視線が泳いだ。
このままじゃダメだということを、やっとわかってくれたみたいだ。
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