自殺教室
けれど豊はこうして足止めを食らうことになってしまったのだ。


「さっき、なにしたの?」


千秋の鋭い視線が飛んでくる。
こいつにはバレてたのか。

一瞬ひるんでしまいそうになるけれど、相手が千秋だとわかっている豊の態度は堂々としたものだった。
店員や警備員じゃないのなら、バレたって捕まらない。

そう、思っていた。


「別に、お前には関係ないだろ」


短く返事をして千秋を無視して歩き出す。
どうせすぐに諦めるだろうと思っていたけれど、千秋は思ったよりもしつこかった。

すぐの豊の後を追いかけてきたのだ。


「ねぇ、そのまま帰る気?」


もう、返事はしなかった。
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