自殺教室
時間が進んでいる。
あれほどのんびりとした動きだった針が、今は4時を過ぎたところにある。

ハッと息を飲んで窓の外へ視線を向けると、外は少しだけ明るくなりはじめていた。


「やった! 夜明けが近づいてきてる!」


ふたりで窓へとかけより、街の景色を確認する。
そこには確かに見慣れた町並みがあった。

なにも変わらない景色の中には早朝のランニングをする人の姿や、犬の散歩をする人、新聞を配達しているバイクの姿がある。
なにもかもが通常通りに動いていることに心の底から安堵した。

これならきっと助けが来てくれるだろう。
安心したそのときだった。

珠美がその場にずるずると座り込んでしまったのだ。


「珠美、大丈夫?」


奈穂が珠美の体を支えて近くの椅子に座らせる。
珠美はぐったりとした様子で机に突っ伏してしまった。
奈穂はそんな珠美を心配しながら時計に視線を向けた。
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