放課後はキミと。
自転車に跨って、探し回ること15分。
それらしき影は、見つけられなかった。
「やっぱり無理か……手がかりないもんね」
涼村くんの住んでいるところもわからないのに広範囲すぎだし、無謀すぎた。
連絡先も知らないなんて。明日、聞こうかな……。
「……どうしようもないよね。明日あやまろ」
涼村くんが前日に急いで勉強するタイプではないと思うけど、さすがに申し訳なさすぎる。
でもどうすることもできず、家の方向へ自転車を走らせることにした。
ん……?
帰る途中の公園に人影が見えた。
条件反射で目を凝らしてみると、今日の涼村くんの服装に似ているような…。
違ったら素通り、すればいっか。
追いかけてみよ。
自転車を公園の脇に止めて、公園の中に足を踏み入れた。
公園自体はそこまで広くないが、入り口は花壇と噴水があり、周りには木が生い茂っている。その奥に、遊具等があるようだった。
人影に近づくと、背格好や服装から涼村くんで間違いなさそうだった。
よかった……。
ほっと胸をなでおろして、なんでこんなところに? という疑問も沸く。
「すず…」
とりあえず声をかけようとすると、声が少しずつ消えた。
涼村くんのそばには、もう一人だれかいるのがみえたからだ。
だれかといる…?
思わず木陰に隠れて、ゆっくりと中をのぞいてみる。
……え。なんで?
暗いけれど公園にある外灯で、スラリと華奢な女の子のようだとわかった。ふわゆるの髪もみえる。
あれは佳耶さん、だ。
「――――」
「――……――」
取り込み中のようだったけれど、表情までは見えないし、なにを話しているかもここからではわからない。
じれったくて近づきたい気持ちにもなるけど、盗み聞きしてると思われるのも嫌で近づくことができない。
ずきん、ずきん
やだ。
胸が痛い。
ただ、見ていることしかできない。
涼村くんが、どうしようもなく、遠い。
そこから動くこともできず、立ち尽くしていると。
不意に、二人の距離が近づいた。
……え?
呆然と見るあたしに、追い討ちをかけた衝撃。
――繋がったのだ。
二つの、影が。
その距離、0センチ。