放課後はキミと。
「おー卯月、えらくご機嫌だな」
数学の担当教員が元気よく入ってきたあたしに目敏く問いかけてくる。
あたしは、い、いえ。とニヤニヤしていた顔を引き締めて、席にさっさと座った。
席について、クリアファイルを取り出すと、例のネコが見えた。
何度見てもぶっさいくだ。
でも。
"ガンバレ"の言葉は、何度見たって私を元気にしてくれる。
よっしがんばるぞ!
涼村くんも待ってるしね!!
放課後のデートは、お預けをくらったけれど。
勉強デートでも放課後をキミと過ごせるだけで、あたしは幸せ。
「じゃあご機嫌の卯月は、もちろん復習してきてるはずだから、一番最後の問題頼むわ」
えっ。
さっと問題を確認すると、応用問題である。
一番難しいとこなんですけど!!
しかも復習なんてしてないんですけど!!
お助けをと教員に目を向けると、数学の先生はにやにやどS笑顔。
殺したいほど憎い。
あたしは問題を見つめて、ただただ頭を悩ますのだった。
涼村くん。
当分そちらへはいけそうにもありません…。
"放課後はキミと。"
fin.
(卯月、おせえ……)
彼は一人、待ち続ける。