相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
はぁはぁ…と息を切らして、駅に着いた羽咲。

『━━━━兎ちゃん。
職場で男と喋るなまでは言わないけど、あんま仲良くしないで?
ちゃんと、断るんだよ?』

黒羽に言われた言葉だ。

「響人くんが入ったこと、言わなきゃだよなぁ…」


「━━━━何を“言わなきゃ”なの?」
「ひゃっ!!?
━━━━時くん!?」

「姉ちゃん、何してんの?パートの帰り?」
「う、うん」

「そっか!ちょうど良かった!
見て?シュークリーム!
姉ちゃんとこに行こうとしてたんだ!
一緒帰ろ?」

「わー!
ありがとう!」

時哉と一緒に電車に乗る。
「どう?クロとの結婚生活は」

「うん、幸せ!」

「良かった!
━━━━━ところで、さっきの独り言何?」

「へ?」

「“言わなきゃ”ってやつ」

「あ、いや…な、何も!」

「んなわけないだろ!
何?
また、隣に住んでる奴になんかされたとか?」

「違うよ」

「じゃあ……店か!
何?何された?」

「何もされてないよ!
みんな、良い人ばっかだし」

「でもなんかあるんだろ?
言わねぇなら、店の奴等に聞こうか?
店長とか」

「ダメ!そんなことしないで?」

「じゃあ、教えろよ!」

「今日ね、新しいバイトの子が入ってきたの」

「ふーん。で?」

「その…男の人で……」

「あー」

「だからその事、羽くんに話した方がいいかなって……」

「そうだな、その方がいいかもな━━━━━」


そして、黒羽が帰ってきた。
「兎ちゃん、ただいま!」

「「おかえり~!」」

「ん?トキ?」
「ん、お邪魔~」


羽咲が夕食を作っている間、黒羽と時哉はベランダで煙草を吸っていた。

「━━━━━どうした?
珍しいな」

「ん?姉ちゃんに会いに来た」

「ふーん」

「ま、あとはたまにはクロと飲みたいなって思ってさ!」

「ん?」

「ほんと、感謝してんだ。お前には」

「トキ?」

「お前が、姉ちゃんを救ってくれたから……!」

「俺の方こそ、感謝してるよ?
お前が、兎ちゃんに出逢わせてくれた」


黒羽と時哉は、思い出していた。

“黒羽と羽咲が出逢った日”のことを━━━━━
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