相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
黒羽が羽咲に“男と仲良くするな”と言う理由は、嫉妬するからという理由がほとんどだが、もう一つ理由がある。


七年前━━━━━━
黒羽と時哉が16歳、羽咲が19歳の時。

羽咲には、交際している男性がいた。
相手は、久目(くめ) 剣豪(けんごう)
当時32歳の既婚者の男性。

羽咲の初恋の人で、初めての恋人だ。

剣豪は、羽咲の小学四年生の時の担任。
その時は、小学校の教師になったばかりの22歳。

カッコ良くて元気があり、どこか危なっかしくて、でも優しくて温かい。

幼い羽咲の心に小さな灯をともした。

この時羽咲は、これが恋だとは気づいていなかった。


二人の関係が急激に近づいたのは、それから8年後。
羽咲が高校二年の冬。

友人がたまたま街で剣豪を見かけ、少し立ち話をして“みんなで久しぶりに会わない?”と誘われたのだ。

羽咲もそこに向かって久しぶりに剣豪を見た瞬間、心が一気に奪われたのだ。

小学生の時と変わらない、明るくて優しくて、温かい剣豪。
胸が痛い程にドキドキして、剣豪から目が離せない。
こんな気持ちは、初めてだった。

しかし積極的に声をかけられなくて、ただ…見つめるだけで食事会が終わった。

帰りにトイレに行き出ると、剣豪が一人で電話をかけているのを見かけた。

“ここで声をかけないと、もうきっと会えない”

勇気を振り絞って、羽咲は剣豪に声をかけた。

『せ、先生!!』
『ん?あ、北袋!
フフ…もう、先生じゃないよ?(笑)』

『あ、あの!
今から、じ、時間ありますか?
少しで良いので』

『………ん、じゃあ…そこのカフェでも行くか!
腹いっぱいだが、コーヒーくらいなら飲めるよな?』
『は、はい!』


『北袋、綺麗になったな!
まぁ…小学生の時も、あり得ないくらい可愛かったが!』
『そ、そんな…/////』

『さっきも声かけようとしたんだが、他の子達に阻まれてさ(笑)
声、かけてきてくれて嬉しかった!』

『……//////
せ、先生!』

『だから、先生じゃないって!(笑)
剣豪でいいよ?
みんなみたいに』

『け、剣豪さん』

『………/////な、なんかそんな風に呼ばれたらドキッてする…/////』

『私、剣豪さんのこと好きです!』

『え……』

『ずっと、憧れてて…/////
だから━━━━━━』
その瞬間、剣豪が向かいに座る羽咲の手を握っていた。
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