相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
“一度だけ”
…………では終われなかった。
それからも、羽咲は剣豪と逢瀬を重ね、ホテルで身体を重ねていた。
罪悪感がなかったわけではない。
しかし、罪悪感も倫理も、道徳も……全てがどうでも良かった。
ただ…剣豪に月に何度か会えることだけが、羽咲にとっての幸せだった。
そんな生活を二年半弱過ごしていたある日。
羽咲は、黒羽に出逢ったのだ。
この日羽咲は、初めてはっきりと“罪悪感”を感じることになる。
それは、時哉の言った何気ない一言だ。
『姉ちゃん!
俺のダチ!王宮 黒羽。
で、クロ!俺の姉ちゃん!羽咲!』
『“うさき”?
なんか、兎みたいだな!ちっちゃいし、可愛い!
じゃあ……兎ちゃんだ!
フフ…名前まで可愛い!』
『だろ?
俺の自慢の姉ちゃん!』
“自慢の姉ちゃん”
この一言。
たったこの一言が、羽咲に罪悪感を与えた。
羽咲にとって時哉は、大切な弟。
両親が共働きで、幼い頃はいつも二人でいた。
時哉はいつも“姉ちゃん!姉ちゃん!”と羽咲を追いかけていた。
そんな時哉の“自慢の姉ちゃん”という言葉。
『時くん、私は…』
『え?ね、姉ちゃん!?
なんで、泣くんだよ!!』
『え?え?
兎ちゃん?
どうしたの!?』
自慢なんかじゃない。
私は、そんな立派な人間じゃない。
汚なくて、最低なの。
どこかで“やめなければ”と思ってはいても、剣豪に会いたい気持ちに負けてズルズル関係を続けている、最低な女。
“兎ちゃん!俺、兎ちゃんに一目惚れしたんだ!”
そう言って、ことある毎に会いに来た黒羽。
心が揺れなかったわけではない。
でも、剣豪への狂おしい気持ちの方がはるかに強く、羽咲は断り続けていた。
それに、時哉の友人を傷つけたくなかった。
『羽くん、私は羽くんが思ってるような女じゃないの。
諦めて!』
『嫌だ!
諦められるなら、こんな夢中で追いかけたりしない。
もし何か罪があるんなら、俺も一緒に背負うから!
それに兎ちゃん、彼氏いるって言ってたけど、全然幸せそうじゃないもん!
俺なら、幸せにしてあげられるよ?』
“幸せそうじゃない”
そうかもしれない。
剣豪は会って抱いてはくれるが、愛をささやかない。
決して、羽咲のタイミングでは会えない。
外で手を繋ぎ、デートができない。
当たり前だが、そんな普通のことができない。
それなのに、別れられなくてズルズルと関係を続けている。
少しずつ……羽咲に苦しみを与えていた。
そんな時だった━━━━━━
…………では終われなかった。
それからも、羽咲は剣豪と逢瀬を重ね、ホテルで身体を重ねていた。
罪悪感がなかったわけではない。
しかし、罪悪感も倫理も、道徳も……全てがどうでも良かった。
ただ…剣豪に月に何度か会えることだけが、羽咲にとっての幸せだった。
そんな生活を二年半弱過ごしていたある日。
羽咲は、黒羽に出逢ったのだ。
この日羽咲は、初めてはっきりと“罪悪感”を感じることになる。
それは、時哉の言った何気ない一言だ。
『姉ちゃん!
俺のダチ!王宮 黒羽。
で、クロ!俺の姉ちゃん!羽咲!』
『“うさき”?
なんか、兎みたいだな!ちっちゃいし、可愛い!
じゃあ……兎ちゃんだ!
フフ…名前まで可愛い!』
『だろ?
俺の自慢の姉ちゃん!』
“自慢の姉ちゃん”
この一言。
たったこの一言が、羽咲に罪悪感を与えた。
羽咲にとって時哉は、大切な弟。
両親が共働きで、幼い頃はいつも二人でいた。
時哉はいつも“姉ちゃん!姉ちゃん!”と羽咲を追いかけていた。
そんな時哉の“自慢の姉ちゃん”という言葉。
『時くん、私は…』
『え?ね、姉ちゃん!?
なんで、泣くんだよ!!』
『え?え?
兎ちゃん?
どうしたの!?』
自慢なんかじゃない。
私は、そんな立派な人間じゃない。
汚なくて、最低なの。
どこかで“やめなければ”と思ってはいても、剣豪に会いたい気持ちに負けてズルズル関係を続けている、最低な女。
“兎ちゃん!俺、兎ちゃんに一目惚れしたんだ!”
そう言って、ことある毎に会いに来た黒羽。
心が揺れなかったわけではない。
でも、剣豪への狂おしい気持ちの方がはるかに強く、羽咲は断り続けていた。
それに、時哉の友人を傷つけたくなかった。
『羽くん、私は羽くんが思ってるような女じゃないの。
諦めて!』
『嫌だ!
諦められるなら、こんな夢中で追いかけたりしない。
もし何か罪があるんなら、俺も一緒に背負うから!
それに兎ちゃん、彼氏いるって言ってたけど、全然幸せそうじゃないもん!
俺なら、幸せにしてあげられるよ?』
“幸せそうじゃない”
そうかもしれない。
剣豪は会って抱いてはくれるが、愛をささやかない。
決して、羽咲のタイミングでは会えない。
外で手を繋ぎ、デートができない。
当たり前だが、そんな普通のことができない。
それなのに、別れられなくてズルズルと関係を続けている。
少しずつ……羽咲に苦しみを与えていた。
そんな時だった━━━━━━