相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
マンションに着き、声をかけながら中に入る。

「ただいまー!」

すると、中から黒羽が出てきた。
「おかえり」

羽咲が思ったより、不機嫌ではなかった。
しかし元々から人付き合いが苦手で、警戒心が強く愛想がない性格。

決していい雰囲気ではない。

「ごめんね!突然…」
羽咲は、黒羽の服をキュッと握り見上げる。

「すみません!突然、お邪魔して!」
「初めまして!失礼します!」
マリンとヒデミも頭を下げた。

「……/////」
そしてコマツは、見惚れていた。

「ううん。大丈夫だよ。
どうぞ?」
一度羽咲の頭をポンポンと撫でて、腰を抱いた。
そしてマリン達に、中に入るように促した。

「「お邪魔します!」」
マリンとヒデミが中に入っていく。
それに続こうとしたコマツが、黒羽に向き直った。

「私、コマツです!
さすが羽咲の旦那さんですね!
カッコいい~」

「は?
あ、どうも…」
怪訝そうに見て言う。
無意識なのか、羽咲の腰を抱く手に力が入った。

「あ、コマツちゃん!
ここで立ち話もなんだし、中にどうぞ?
ほ、ほら!ゼリー買ったし、みんなで食べよ?」

「あ、ごめんね!
お邪魔します!」
パタパタ…と中に入っていくコマツを見送ると、黒羽が羽咲を抱き締めた。

「はぁ…」
「羽…くん…?」

「ごめん、少しだけ……こうさせて?」
羽咲の肩に顔を埋めて、少し苦しそうに呟いた。

「うん…私もごめんね。断りきれなくて…」

「ううん…
“友達も大切にする”って約束でしょ?」
そして向き直り、羽咲の頬に触れ言った。

「できる限り、兎ちゃんの友達に不快な思いさせないようにするからね!」


黒羽と羽咲も、リビングに向かう。

「━━━━とりあえず、お茶淹れるね!」
「「「お構い無く~」」」

黒羽はソファに座った。
無表情で、何も話さない黒羽。

「………」
「………」
「………」
「………」

「…………あ…えーと…す、素敵なお家ですね!」
マリンが気を遣い、微笑み言った。

「はい」

「旦那さんは、◯◯の社員さんなんですよね?
あんな大手に勤めてるなんて凄いですね!」

「ありがとうございます」

「パズゴ(黒羽が勤めてる会社が出しているアプリゲーム)今、ハマってるんですよ~」
「私の彼も、いつもしてます!」
マリンとヒデミが、明るく話しかける。

「へぇー!
嬉しいね、羽くん!」
そこに、羽咲が来る。

マリン達に、お茶を出しながら微笑んだ。
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