相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
まるで、人間のクズのような発言をしている黒羽。

時哉は何とかしてあげないと本当に“クズ”に成り下がる。
そう思い、ある提案をする。

『クロ、彼女作れよ!
守りたいもんができれば、変われるんじゃねぇかな?』

『女なんて、いらない!嫌い!』

『なんで?』

『“黒羽は顔だけ”って言って、フラれるから』

『今までの女が、そんな奴ばっかだったってだけじゃねぇの?』

『そうかもだけど…』

『…………あーもー、しかたねぇか!!』

『ん?』

『俺の、一番大切な人を紹介してやる!』

『え?
トキの女?』

『そうじゃねぇけど、スゲー大事な人。
その代わり、その人を傷つけるようなことだけはやめてくれ!!』

『え?』

『俺はさ。
自分が裏切られるのは、我慢ができる。
でも、大切な人が裏切りにあって傷つくのは耐えられねぇ!
だから、約束してくれ!』

『…………わかった!
トキを傷つけたくないから、その約束は守る!』

そして黒羽は、羽咲に出逢ったのだ。


初めて逢った時の衝撃は、今でもはっきり覚えている。

『姉ちゃん!』

『あ!時くん!
おかえり!』

可愛い。
最初黒羽は、単純にそう思った。
そして羽咲が黒羽に気づきふわりと微笑んだのを見て、心臓がはっきりドクン!!と大きく動いたのだ。

『こんにちは!時くんの、友達?』

『あぁ!
俺のダチ!王宮 黒羽。
━━━━━で、クロ!俺の姉ちゃん!羽咲!』

時哉と初めて遊んだ時のように、自然と笑顔が出て黒羽は………

『“うさき”?
なんか、兎みたいだな!ちっちゃいし、可愛い!
じゃあ……兎ちゃんだ!
フフ…名前まで可愛い!』

こんな言葉でさえも、自然と出てきたのだ。

『だろ?
俺の、自慢の姉ちゃんなんだ!
可愛くて、優しくて、穏やかな姉ちゃん!』


一気に心が奪われ、黒羽は羽咲のために“ちゃんと生きたい”と思うようになる。

それからは真面目に高校・大学に行き、大手のゲーム会社に就職した。

全ては、羽咲のため。

それは羽咲が“羽くんは心が綺麗”と言ってくれたから。

『だって羽くんはいつも、真っ直ぐ私を見て“好き”って言ってくれるでしょ?
そんなこと、なかなか出来ないもん。
私は彼を、真っ直ぐ見れてないの。
確かに羽くんは、時くんと同じで不良だけど……
こんな私に“罪があるなら、一緒に背負う”って言ってくれた。
そんなこと、なかなか出来ることじゃないよ?
だから、羽くんは綺麗だよ!』と━━━━━━

そんな人は、時哉以外に初めてだった。
だから黒羽は、羽咲のために生きたいと思うようになったのだ。
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