相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
「「乾杯!!」」

ある日の夜。
黒羽は、時哉と居酒屋にいた。

「でも珍しいな、姉ちゃんが夜に仕事すんなんて」
「今日だけ!」

羽咲に急な仕事が入ったからだ。

「あ、そう(笑)
フッ…クロ、怒ってんの?」
「怒るよ!怒るに決まってる!
だって!パートはランチだけって約束で許可したんだもん!」

「……ったく…(笑)
クロって、そんな独占欲強かったっけ?」
「ううん、そんなことないよ。
でも、兎ちゃんのことは独占したいと思ってる。
その他はどうでもいい」

「えー!俺はー?」
時哉が煙草を取り出し咥え、黒羽にのしかかるように抱きついた。

「もう!重い!
トキも大事だよ?
━━━━━ん!」
時哉を押し返し、時哉の煙草に火をつけようとライターを出した。

「ん、ありがと!」

「………」

「……ん?クロ?どうした?急に黙って」

「俺も、感謝してるよ」

「え?」

「トキが兎ちゃんを紹介してくんなかったら、俺は今頃、犯罪者になってたかもだもん」

「あ、あー(笑)
だろうな!(笑)
笑っちゃうくらいのクズ発言連発してたもんなぁー」

「トキと、兎ちゃんが救ってくれた!
俺を“まともにしてくれた”
だから、ありがとう!」

「いいえ~
あ!クロ、刺身の盛り合わせおごって~
こっちの、ウニが乗ってるやつ!」

「えー、やだ!自分で頼みなよ」

「いいじゃん!
今月、ピンチなの!!」

「はぁー、どうせ後輩におごってばっかとかなんでしょ?」

「いいじゃんか!
仲間は大事にしねぇとっつってるだろ?」

「わかった、わかりました!
どうぞ?頼みなよ」

「おっっしゃーー!!!」
ガッツポーズをし、嬉しそうに店員を呼ぶ時哉。
その姿を見ながら黒羽は“確かに、トキは大切にしなきゃな”と思うのだった。


しばらく楽しくのんでいると、カウンターに並んで座っている黒羽と時哉の横に客が案内されてきた。

「こちらの席にどうぞ?」

「どうも。
━━━━━━ん?あー、ウサダン(羽咲の旦那という意味)だ!」

「え?あ…バイト野郎だ…」
響人と響人の友人・ヨシロウがいた。

「ん?クロ、こいつ等誰?」

「兎ちゃんのパート先のバイト野郎」

「へぇー、姉ちゃんの!
お疲れ~」

「“姉ちゃん”って……
え?え?うさちゃんの弟!?」

響人とヨシロウは、時哉を見て固まっていた。
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