相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
「羽くんって━━━━━」
「んー?」

「………あ…いや、やっぱりいい…」

「えー、何?」

「ううん。言ったら、怒るだろうし……」

「怒る?
何!?益々気になるよ!」

「ううん、気にしないで」

「兎ちゃん!
教えて!!
怒るってことは、俺以外の男の話だよね!?」
羽咲の肩を持ち、責めるように言う。

「い、痛いよ…!羽くん!」

「だったら言って!」

「羽くんとね…」

「うん」

「剣豪さんの笑った顔がその…
に、似てるな…って…思って……」

「は?」

なんで?
なんで、俺とあのクズが?

冗談じゃない!

「あ…あ…羽く…ごめんな…さ…い」
今までにないくらいに、恐ろしく落ちてしまった黒羽。
羽咲は怯え、ガクガク震えていた。

「何が?何にごめんなさい?」

「え?
あ…似てる…って…言ったから……」

「違う!!」

「え……」

「どうして!?
あいつは、兎ちゃんをさんざん傷つけたんだよ!!?
あいつのこと、まだ好きなの!?」

「え?まさか!?」

「もしかして……兎ちゃんは、あいつと俺が“似てるから”俺を受け入れてくれたの!?」

「え……違うよ!!」

「俺は、あいつの“代わり”なの!?」

「違う!!!」

「だったらどうして!あいつと俺の笑顔が似てるなんて言ったの!?」

「それは━━━━━」

広い公園に、二人の言い争いが響き渡る。


「……………兎ちゃんは…俺の、どこが好き?」
黒羽は一息ついて、羽咲を見据えた。

「え?」

「俺が、兎ちゃんの全てを受け入れるって言ったから?
逆を言えば、受け入れてくれる人なら誰でもよかった?」

「ど…して…そんなこと…言う、の…?」
羽咲の表情が悲しみに揺れ、声が震えている。

「あいつのこと、それこそ命懸けで好きだったんだよね?
なのになんで、俺を好きになれたの?」

「真っ直ぐなとこ」

「え?」

「羽くんは、いつも真っ直ぐだった。
時くんと喧嘩ばっかだったけど、人見知りで無愛想だけど、いつでも真っ直ぐ相手を見てた。
私と一緒に、罪を背負ってくれた。
私に、愛をくれた人。
幸せをくれた人。
そうゆうところが、好き!」

羽咲も、真っ直ぐ黒羽を見上げ言った。
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